食べ物の組み合わせ、
業界では「フードペアリング」と言ってます。
例えば、
- 似たもの同士を掛け合わせて味に深みを出す、
- カレーのスパイスのように違うものを組み合わせて美味しさを作り出す、
- 懐石料理のように味や香りを順に楽しむことで単独に食するより味わい深さを堪能できる、
こんな感じで毎日我々はフードペアリングを体験しています。
もちろん、美味しさを感じることは個人の食経験や遺伝、あるいは個々の味覚神経によって左右されるので、フードペアリングは好みの問題です。
ところで、求めるものが美味しさではなく健康というフードペアリングがあります。
これを、機能性フードペアリングと言います。
機能性と言えば、機能性表示食品も最近では一般的になってきました。
トクホ(特定保健用食品)と同じようなものですが、認定制度上に違いがあって、
体脂肪を減らす、血圧を下げる、血糖値の上昇を抑えるなどの生体調節機能があると製造業者が科学的に明らかにした場合に表示が許可されています。
機能性フードペアリングは、生体調節機能のある食品成分とその作用を高める食品成分とを組み合わせることです。
最近、ここ静岡に馴染み深い食品をフードペアリングした研究論文が報告(2021年9月)されたのでご紹介します。
研究者は九州大学、北海道情報大学とトヨタ自動車で静岡とは全然関係ないですが。
緑茶には生体調節機能があるカテキンが含まれています。
カテキンには抗肥満作用がありますが、効果を発揮させるには高濃度の緑茶をたくさん飲む必要があります。
何でも摂り過ぎは何らかの問題を引き起こしそうでちょっと怖いです。
そこで、柑橘由来のポリフェノールをペアリングさせると、緑茶カテキンの機能がグッと向上し、
従来よりも少ない量の緑茶カテキンの摂取で抗肥満作用が期待できるようになりました。
まだ、少人数での試験結果からの判定なのできっちり証明されたわけではないのですが、緑茶カテキンと柑橘由来ポリフェノールには抗肥満作用以外の生体調節作用に対しても有効である可能性が示されているため、今後の実証研究が待たれます。
柑橘由来のポリフェノールはヘスペリジンと言います。
温州みかんなど柑橘類の果実の内側の皮や袋に含まれる成分で、残念ながら甘い中身にはあまり含まれていません。
中性脂肪低下、血圧改善作用、血流を良くして冷え性を改善する作用や、ストレスの軽減、肌質の改善や、ビタミンCの消耗を抑えるなど生体調節機能満載ですが、水に溶けにくい性質があります。
そこで、ヘスペリジンにブドウ糖を結合させて糖転移へスペリジンにしますと、溶けやすくなり、体内への吸収性が向上します。
今回の研究では、この糖転移へスペリジンが利用されています。