味覚の秋。
大学の先輩が山形のメロンを毎年送ってくれるのですが、口の中がチクチクして食べられない というスタッフがいます。
こんな美味しいものを食べられないなんて可哀想に、と同情する反面
こちらの取り分が増えると腹の底では喜ぶ(←かどうか詳らかにできませんが)
今回は口の中のアレルギーの話です。
果物を口に入れた後で急速に唇・喉・頬の内側がイガイガした痒みや痛み、腫れが始まり、
飲み込んで数分間続くー1時間以上続くこともあるー
これは、口腔アレルギー症候群の可能性があります。
アレルギー反応を起こす原因となる物質をアレルゲンと呼んでいますが、
口腔アレルギー症候群は果物に含まれているアレルゲンが
口や喉と接触することによって吸収され、局所的に引き起こされる接触アレルギー反応の一種です。
稀ですが、皮膚・呼吸器など口以外にも症状が出たり、アナフィラキシーを起こすこともあります。
最近は、小・中学生に著しく増加していて、食物アレルギーの原因食物第1位に果物がランキングされているという報告もあります。
ところで、口腔アレルギー症候群の患者の7〜8割がすでに花粉症だったという報告があります。
統計的には3歳以内に花粉症が発症し、6歳前後で口腔アレルギー症候群になったという例が多いようです。
それで、口腔アレルギー症候群が花粉症患者に見られるものを
「花粉-食物アレルギー症候群」といいます。
いわゆる交差反応というもので、花粉と果物ではアレルゲンが異なるのですが、
たまたま似たような形をしているので花粉症患者は果物にもアレルギー反応を引き起こしてしまった、と推測されています。
つまり、“間違って反応しちゃってるよ”ということです。
ただ、加熱すると交差反応しなくなります。
口腔アレルギー症候群は複数の果物のアレルゲンに発症する傾向が強いのも花粉症と似ています。
口腔アレルギー症候群で全身性症状の場合は、単独の果物にのみ症状を呈したり、花粉症の発症率が低いという報告もあります。
牛乳、卵、魚介類などの非植物性食品は口腔アレルギー症候群を起こしません。
交差反応を起こさないからですが、これらのアレルゲンに対して直接に反応するのでアナフィラキシーを含む全身性アレルギー反応をより一般的にもたらします。
症状を引き起こす食物を特定して回避することは発症を未然に防ぐし、
より重度のアレルギー反応を起こさないように安全性を高める助けになります。
そのためには皮膚科、耳鼻咽喉科、アレルギー科で検査してアレルゲンを特定したほうがいいでしょう。
もしお子さんが果物や野菜をいつも嫌がったら、そして花粉症があったら、
口腔アレルギー症候群の可能性があります。
口の中をのぞいてみて赤くなったり腫れたりしているところはないか探してみましょう。
最後に、花粉症の原因となる植物別に口腔アレルギー症候群を起こす可能性のある果物を列挙します。
ヒノキ科(スギ、ヒノキ):トマト
イネ科(ガヤ):キウイ、バナナ、ウリ科
カバノキ科(シラカバ、ハンノキ):バラ科果物ーリンゴ、ナシ、モモ、サクランボ、ブドウ、イチゴ、ビワ、プラム
キク科(ブタクサ、ヨモギ):メロン、バナナ、スイカ、キュウリ