先日、散歩コースのある近所の山に登って(標高は140メートルですが)
家に着いたら鼻水が止まりません。
スギ花粉大量飛散のニュースを知ったのは翌日でした。
幸いにも、1日で治ったので薬は飲まずにすみました。
最近は「舌下免疫療法」という治療法が現れて、
試している人がチラホラいるようです。
でも、1年間の投薬が必要で、さらに体質改善には3年かかります。
そんなわけで、さあやってみよう!とはなかなか踏ん切りがつかない治療法ですが、
今月の千葉大学の報告によると面倒さが改善できる糸口が見つかったようです。
花粉症のメカニズム
先ずは、花粉症のメカニズムをサクッと見ていきましょう。
花粉(抗原)
↓
花粉を感知した抗原特異的記憶Th2細胞がサイトカイン産生
↓
サイトカインを受け取ったB細胞はIgE抗体を産生
↓
IgE抗体と抗原が肥満細胞(マスト細胞)上でくっつく
↓
マスト細胞からヒスタミンが放出
↓
症状を引き起こします
血管拡張→目の充血
知覚神経を刺激→かゆみ、くしゃみ、鼻水
細胞の役割
T細胞は、以前に体内に入ってきたと記憶された物質が再び入ってきたときに
その情報を受け取って、さてその物質をどうするか、と免疫系を調整する重要な細胞です。
T細胞には様々な種類があって、アレルギー炎症を起こす細胞をTh2細胞と言います。
抗原特異的記憶Th2細胞とは、ある原因の物質のみに限って反応するようになったTh2細胞のことです。
B細胞は、リンパ球の一種でウイルスや細胞が侵入してきたら抗体を作って攻撃します。
肥満細胞は体中の血管周囲、皮膚や皮下組織などに広く存在しています。
花粉症になって飲む薬
我々が花粉症になって飲む薬は抗ヒスタミン薬です。
抗ヒスタミン薬は
1)ヒスタミンが放出されても、それを受け入れる場所をなくしてしまう。
そうすれば、以降の反応が起こらない。
2)肥満細胞からヒスタミンを放出されにくくする
以上の働きがあります。
あくまで、対処療法であり完全に根治させる薬ではありません。
今回、舌下免疫療法を追跡調査した結果、この治療を行うと
アレルギーを引き起こす抗原特異的記憶Th2細胞の機能を抑える物質が出現していました。
この物質は、抗原特異的記憶Th2細胞をサイトカインの生産が少ないT細胞や炎症を抑制するT細胞に変える働きがあったのです。
この研究が発展すれば、花粉症メカニズムの大元をコントロールできるので、
3年もかからずに体質改善できるかもしれないですね。