しみず小児歯科のブログ
〜歯科医がお口のことを自由気ままに書いてみた〜
小児

手を握るロボット登場!麻酔の痛みよ、飛んでいけ

乳児の治療に麻酔の注射をまず使うことはありません。

が、永久歯の虫歯では麻酔せざるを得ないことは多々あります。

「麻酔するね」って言うと、内心穏やかでは無いだろうなと察しています。

なかには、麻酔して欲しいという奇特な子もいますが。

 

注射の痛みを和らげる効果があるのは

・釘を打つ前に表面麻酔をする

・できるだけ細い針を使う

・釘を刺すというより皮膚を引っ張って皮膚を針先にもっていく

・ゆっくり注入する

・冷点と痛点は反応が近いので、針を刺す前に冷やすと痛みを感じにくくなるというのもあります

 

痛みを和らげるテクニックがあっても、あ〜これから注射されるという恐怖を和らげる方法はないのでしょうか。

腕や背中をなでたり、さすったりするといったソーシャルタッチは病院や介護でよく使われています。

以前、注射の恐怖から

「お姉さん!手を握って」と歯科衛生士に懇願した女子高校生がいました。

これも一種のソーシャルタッチです。

 

この手を握る行為をロボットに任せてみようという研究が筑波大学で行われ、

確かな成果があったとの報告が今年の10月に掲載されました。

装置は大きいクロワッサンのような形をしていて、柔らかい毛皮で覆われています。

 

中に圧力センサーがついている3つのエアバックが内装され、

握るとセンサーが作動して3つのエアバックが反応し、装置が手を握り返してきます。

 

圧力センサーでユーザーの握り動作を検知し、

それに応じてエアポンプの出力を制御し

「握る」感覚と「握られる」感覚を同時に発動できるところが新規性だそうです。

大きな手で握っていてくれる、守られている、という安心感を与えてくれるところがミソです。

 

66名の参加者からの結果を分析したところ

・痛み値が有意に減少

・ストレスの低下

・注射に対する恐怖心が有意に低下

とまずまずの成果を上げています。

 

さらに、現実に存在するロボットと仮想空間をつなげて、

いろいろな場面での痛みや不安を和らげることができる研究を進めていくそうです。

今後は、人にやってもらうよりロボットの方が安心!という人が増えるのかな?