ようやく秋が来た気配がしてきました。
そんな秋は美味しいものだらけ!!!
マロン特集も始まっています🌰
それで、今回のテーマは「味覚」です。
五感のうち、視覚・聴覚・触覚は外からの単一の刺激を受けて反応しますが、
嗅覚と味覚は一度にたくさんの情報が感知され、それらが脳に働きかけてきます。
その味を感じる仕組みですが、舌には舌乳頭と言う小さいポッチがあって、そこに0.1㎜にも満たない味蕾(みらい)があります。
味蕾は口の奥や喉にもあり、それは数十個の味細胞から成ります。
味の基となる物質を感知するのは味細胞です。味細胞のアナログ情報は、神経を通じてデジタル化され視床を経て大脳に至ります。
大脳には味覚以外に臭覚情報も入り、視覚からは見た目や形・分量の情報、聴覚から噛んだ時の音、触覚からは舌触りといったいろいろな情報が集まります。
その複雑な情報を整理するのは困難で、味の好みを一言で言い表すことは難しく、客観的な説明ではなく主観的な説明しかできない事になります。
食レポのプロは、その情報を明快に説明します。一種の「神技」としか思えません。
味自体も複雑で、酸味、塩味、苦味、甘味、旨味の五つの味で構成されています。
五つの味が複雑に混ざり合い、又、量的な多少も含めると無限の組合せとなります。
感じ方は、その無限の組合せには対応できないので、濃い麦茶をコーヒーと勘違いしたり、サラダ油を垂らした赤身マグロを高級トロだと言い切ることもあります。
配合によって一つの味を変化させることもできます。
「塩味」をちょっと足すと甘みが増し、苦いコーヒーに砂糖を入れると「苦味」が軽くなります。異なる味を混ぜると足した味が元の味を増強させたり、それぞれの味を弱め合ったりするのです。
これらは味の相互作用と言い、増強・抑制・相乗・相殺効果などがあります。ラーメンの出汁にあれこれ入れて「旨味」を一層引き立たせるっていうのはまさに味の相乗効果です。
酸っぱいレモンに砂糖をかけて食べると「酸味」が薄くなるのは味の抑制効果です。
酸味は水素イオンを感知したときに感じる味です。その酸を砂糖は中和することができないので酸が減ってしまったわけではありません。やっぱり同じように酸っぱいけど「甘味」が増したとは感じないのです。
味の相互作用は、味細胞が味を有する物質を感受して大脳が解析するまでの間に起こっていることがわかります。
つまり、味が変わったというのは、味の感じ方が変わったということです。
「辛味」に反応するのは味細胞ではなく痛覚です。温覚も刺激されます。辛いのが好きな人は、痛みが快感なのか、感じないのか、あるいは、痛みに堪えて5つの味を楽しめるのかもしれません。
「渋味」は痛覚と味覚(苦味)が協働して感じる味です。
代表となるのがコーヒーとワイン。ワインは渋味以外に酸味や甘味なども感じられるので、それで人それぞれに好みが変わってくるでしょう🍷
渋さだけでは本来のおいしさが伝わらないような気がします。痛覚が関わっているので、辛味と渋味は残念ながら「味」の分類には入っていません。
代表的な旨味成分は、グルタミン酸(昆布)・イノシン酸(鰹節)・グアニル酸(干ししいたけ)です。すべて日本人が発見しました。さすが出汁にこだわる日本人。旨味にぴったりの英語がないので、学会ではumamiで通じます。