”歯が少なくなると噛む効率が下がるから、栄養摂取に問題が起こり体重が減少する。
特に高齢者の場合、体重減少は命に関わることだから
噛める歯を増やすために入れ歯やブリッジなどで口腔機能を改善させましょう。
そして、80歳になったとき20本以上の歯が残っているようにしましょう”
これ、歯医者に行ったら一般常識みたいに言われることだと思いますが、
実は、体重減少に対しての入れ歯やブリッジの長期的な効果についての研究は行われていませんでした。
(マジか〜)
それで、2010年から2013年の3年間に
65歳以上の高齢者53,000人を対象とした調査が行われ、
2021年にその結果が報告されました(東京医科歯科大・東北大の共同研究)。
結論から言うと、今まで言われてきたことは本当だった ということが明らかになり、
ホッと一安心って感じですが、細かく見ていくと興味深いことがわかりました。
体重減少を歯が20本以上ある人とそれ未満の人で比較しています。
体重減少は10%以上減ったかどうかを基準にします。
歯が20本以上ある人のうち、3年間で体重が10%以上減少した人の割合は4.3%でした。
統計の話ですが、
性別・年齢・教育歴・疾患など歯の数に影響しそうな因子は全て取り除き、
「歯の数と体重減少」のみに焦点を当てています。
歯が10~19本の人は歯が20本以上ある人たちと比べて体重減少リスクは1.3倍になります。
しかし、入れ歯やブリッジをしていると体重減少リスクは歯が20本以上ある人たちと差がなかったという結果でした。
これは、入れ歯やブリッジをすることによってリスクを72.8%も減らしたことを意味します。スゴイ効果!
歯が1~9本の人は歯が20本以上ある人たちと比べて体重減少リスクは1.55倍。
入れ歯やブリッジをすると体重減少リスクは1.37倍。
リスクを31.8%減らしました。
歯が0本の人は歯が20本以上ある人たちと比べて体重減少リスクは1.62倍。
入れ歯やブリッジをすると体重減少リスクは1.47倍。
リスクを24.1%減らしました。
結論として
入れ歯やブリッジを使用することによって体重減少のリスクを大幅に低下できる可能性が示唆された、と書かれています。
が、残っている歯の数が減ると体重減少リスクは上がり、入れ歯やブリッジの効果は薄れていきます。
残っている歯が10本未満の人たちは入れ歯やブリッジ効果があっても
依然として体重減少リスクは高いままです。
その人たちをどうやって救うか、その手段を早く見つけて実用化して欲しいですね。
インプラントの活用とか、どこの歯医者でも作れる素晴らしい入れ歯とかブリッジ、
それからiPS細胞を用いた歯の再生とか….
あと、全ての人に
歯を減らさないための生活習慣の確立とその維持、
そして定期検診を忘れずに!!!