しみず小児歯科のブログ
〜歯科医がお口のことを自由気ままに書いてみた〜
研究

ビールは肺ガンを予防できるのか

酷暑にはカーッと爽快な世界へ誘う仕事終わっての冷えたビール。

そんなビールを好まれる方も多いのでしょう、盛んにテレビCMが流れています。

今回はそんなビールのお話です。

 

ところで、唇を噛んで傷ができてしまっても、皮膚の細胞が増殖して傷は跡形もなく綺麗に修復されます。

修復されれば増殖は停止し、それ以上に増えることはありません。

 

細胞の増殖に必要な遺伝子情報はDNAに記載されています。

DNAも紫外線、放射能などの外からの刺激や体内で作られる活性酸素など内側からの刺激で傷つきます。

しかし、DNAも皮膚のときと同様に修復されて元通りになります。必要がない細胞を死へ誘導、傷ついたDNAを修復、細胞増殖を抑制する遺伝子が働く、こうしたことは日常的に行われています。

ところが、細胞をこれ以上増殖させる必要がないのに停止することなく増殖を続けさせてしまう、あるいは、細胞の増殖を停止させる情報伝達が働かないので黙々と増殖させる、このようなことがおきたときに起こります。

つまり、DNA修復においてアクセル踏みっぱなし、あるいは、ブレーキが壊れて効かないといった状態です。

正常な細胞に異常なDNAを持った細胞が出現して、それが増殖してさらに異常な細胞が増えてしまうことがあります。

そして、生命に大切な組織が壊れたり機能しなくなったりします。

これがガンです。

 

さて、またビールに戻ります。

今年6月の岡山大学の報告によりますと、ビールやノンアルコールビールを餌に混ぜて投与したマウスでは、ただ餌を投与したマウスに比べて、同じ量の肺ガンの発ガン物質を投与してもできた腫瘍数(腫瘍は細胞が異常に増えてかたまりになったものです。悪性腫瘍はガンと呼ばれています。)は有意に少なく、半数のマウスには腫瘍が見られなかったとのことです。

どうしてビールが肺ガンを抑制したか、それは傷ついたDNAの修復を手助けした、ガン細胞の増殖を抑制したから、と考えられています。

まだマウス実験レベルの話ですし、ヒトでもビールが肺ガン抑制に有効だったとしても、飲み過ぎたら他の病気になりそう。

しかし、どうしたらビールが肺ガン予防に活用できるか、これからの研究成果が待たれますね。