しみず小児歯科のブログ
〜歯科医がお口のことを自由気ままに書いてみた〜
矯正

コロナウイルス 〜次亜塩素酸水のお話〜

もし症状の発現がないコロナウイルスに感染した患者さんが歯医者に来院したら・・・

しかも、感染していることを知らずに・・・

 

歯科医院が一般医院や他の店と決定的に違う点は水を使った治療をするということです。

新型コロナウイルスは飛沫により感染しやすいと言われており、手袋でウイルスを含んだ唾液に直接素手で触れることを防げても、歯を削ったり歯石を取る際に水と共に唾液も飛び散るため、歯科医、あるいは歯科衛生士や助手の感染が懸念されています。

 

飛沫が付いた面には数日間ウイルスが存在してるかもしれません。そうなると、院内スタッフだけでなく後に来られた患者さんにも感染リスクがあるかもしれません。

そんなわけで今回は歯科医院内の水のお話です。

 

歯を削ったり歯石を取る時には水をかけながら行います。

診療室のイス(通称、歯科用ユニット)で口もゆすぎます。

歯科の治療には水が必要不可欠!

が、もう30年くらい前になりますが ”歯科用ユニットの水は細菌がうじゃうじゃだよ” という報告に衝撃を受け、これは何とかしなければならないが何ともならない歳月が流れ、

やっと10年前に次亜塩素酸水(通称、次亜水)というスグレモノを知るに至り、2011年東日本大震災の年ですが、配管工事を敢行しトイレの水以外は全て蛇口をひねれば次亜塩素酸水が出るようにしました。

もちろん歯科用ユニットの水も!

切削時に次亜塩素酸水が霧のように吹き出ます。

 

当時、次亜塩素酸水は世間ではほとんど名前が知られてませんでしたが、2002年には、食品加工等の分野において洗浄・消毒目的で食品添加物としての使用を厚生労働省から認可を受けていました。

と言っても、誰も興味を示さない話でしたが、ウチは殺菌水使ってるという安心感に満足していました。

 

時は経ち2016年・・・

次亜塩素酸水のシステム導入から5年経過した歯科用ユニットでは細菌検出が基準値以下であったという報告が口腔衛生学会誌に発表されました。

 

ちょうどその頃から全国紙に歯科のユニットから出る水は汚染されているという記事が出たりして、厚労省から院内感染を徹底するようにという通達がありました。

厚労省の示す院内感染防止策は水が出る切削器をしっかり滅菌し、治療中に感染させない、廃棄物の処理は安全確実にというものでした。

顔の横に強力吸引器を備えることが保険点数上乗せの条件の一つになったのも感染防止の一環でしょう。

前に治療した人の細菌を次の人に移すことは防げても、残念ながら汚染されている可能性がある水に関しては言及なしでした。

 

依然として世間で次亜塩素酸水の周知がなされているとは言えない状況が続いていたのに(歯医者の間では徐々に次亜塩素酸水が普及していました)、

まさか、コロナウイルスによって次亜塩素酸水がTVや新聞に頻繁に登場するなんて夢にも思いませんでした。こういう形で次亜塩素酸水の名前が知られるようになるとは。

 

2010年に次亜塩素酸水のセミナーで話を聞いたときには、次亜塩素酸水は細菌はもちろんウイルスや真菌の類に対しても効果が期待できるという触れ込みでした。

ちょっと本当かな?と訝しく思っていたのですが、その会場に大学の先輩K先生がおられて既に次亜塩素酸水システムを導入していると聞き、それならってことになった次第です。

 

ウイルスはその構造からエンベロープの”あるウイルス”と”ないウイルス”に分けられます。

 

エンベロープとは、ウイルス本体の外側にある膜で、エンベロープのあるウイルスはその膜が壊れると失活します。

インフルエンザはエンベロープありのウイルスです。

アルコール消毒はエンベロープありのウイルスには有効だが、ノンエンベロープには効きが悪い。

ところが、この次亜塩素酸水はエンベロープありのウイルスにはもちろんノンエンベロープのノロウイルスや肝炎ウイルスにも効果絶大ということです。

今回の新型コロナウイルスはエンベロープありのウイルスです。それで、アルコール消毒が有効なのです。そして、もちろん次亜塩素酸水も有効です。

 

一般家庭での消毒にはアルコール、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸水が推奨されています。

新型コロナウイルスにどれが最も効果的だったかという検証はまだ行われていないと思います。

手指消毒にはアルコール、手の触れる所の消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使うようにと言われていますが、強アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムは取扱に注意が必要ですので、少なくとも同様の効果が期待でき、しかも弱酸性で安全な次亜塩素酸水の方が手指消毒にも使えるので、より一般的に気軽に扱える消毒剤だと思います。

 

※次亜塩素酸ナトリウムを薄めたり、アルカリ性を中和しても次亜塩素酸水にはなりません。

 

もし症状の発現がないコロナウイルスに感染した患者さんが感染していることを知らずに歯医者に来院したら、診療室内では、

通常の院内感染防止策使う水は次亜塩素酸水治療後は高濃度次亜塩素酸水スプレーで消毒

あとは、感染者数が激減、安定することを眺めながら、じっとワクチンの実用化を待つ・・

これ以上コロナウイルスの感染が広がらないことを願いつつ。

 

**次亜塩素酸水の無料配布しています。ご希望の方は容器を持っておいでください**