口内炎は小児の生活の質を下げる厄介な疾患です。
「痛い」「しみる」を伴う症状は摂食(せっしょく)障害や脱水を引き起こす可能性があります。
今回は子供にできる口内炎をまとめてみました。
緑が赤っぽく中が白黄っぽい円形の口内炎をアフタ性口内炎と言いますが、アフタと名付けたのは、あの「ヒポクラテス」です。あの学者も口内炎は痛かったのかな?
欠けた歯で舌や頬の内側に傷ができた
矯正装置が当たって/擦れて傷ができた
火傷した
舌や唇を噛んだ
このようにしてできた傷に口腔内細菌が繁殖して口内炎が発症すると言われています
チョコレート・コーヒー・ピーナッツ・イチゴなどの一部の食品が誘発因子となる場合があると考えられています。
鉄・血清フェリチン欠乏に伴う口内炎は小児によくみられると報告されています。
ビタミンB群欠乏も要注意です。
家族歴が陽性の子供は再発性アフタ性口内炎を発症する傾向があるようです。
ベーチェット病
口腔粘膜のアフタ性潰瘍(かいよう)、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4症状を主症状とします。
遺伝素因が免疫反応や炎症に関係して発病するようですが詳細は解明中です。
ベーチェット病の遺伝素因を持った人に、口腔内細菌やウイルスなどの微生物が侵入すると異常な免疫反応が炎症を引き起こし、結果としてベーチェット病の発症に至るという考えが有力です。
セリアック病
日本での症例は少ない病気ですが、セリアック病は、小麦や大麦、ライ麦に含まれるタンパク質のグルテンに対する遺伝性の不耐症で、低栄養、軽度の体重減少と貧血、または口内炎と舌の炎症がみられる人もいます。
周期性好中球減少症
周期性好中球減少症は常染色体優性遺伝性疾患で、発熱、咽頭炎、歯肉炎、口内炎などの細菌感染症が起こります。
感染症は3〜5日で回復します。通常は年齢と共に自然軽快する良性疾患です。
その他、薬物で起こることはありますが、小児ではレアです。
噛んだ、擦れたといった具体的な原因がわかっていない限り、なんでできたか不明なことの多いのが口内炎の特徴の一つです。
ですが、栄養状態の不良や生活習慣の乱れにより免疫力が下がると出来やすいと言われています。
また、免疫力が下がると口腔内細菌に感染しやすいことで口内炎が悪化します。
*潰瘍(かいよう)症状を呈する他の疾患との鑑別が必要な場合があります。
特に以下の代表的なウイルス性疾患は注意が必要です。
水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)
ウイルス感染症
口の左右片側に多数の口内炎ができることがあります。
ヘルパンギーナ
主として口の上側の軟口蓋から口蓋弓にかけて直径1〜2mm、大きいものでは5mmくらいの赤い小水疱ができます。
小水疱はやがて破れてアフタ性口内炎のように痛みが出ます。
手足口病
口の中に多数の水疱ができたり、舌の先に大きな口内炎がができることもあります。
口内炎が多いと痛みのために摂食障害が起きます。
治療法
一旦発症したら、その進行を止めることはできませんが、薬物療法により、痛みを軽減したり、皮膚の再生を早める効果は期待できます。
また、レーザー照射で同様な効果を得ることができます。
痛みが激しい場合は粘着性麻酔ペーストが有効です(所謂、表面麻酔剤です)が、小児では治療法の快適性(薬の塗布・頻度・治療の不快感)を考慮する必要があります。
口内炎はできてしまったら根治的治療法がないのでなんとか痛みを軽減する方法を探るしかないのですが、普段から満遍なく栄養を摂る、免疫力を保つ、口腔内を清潔にする、以上が大事ですね。